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鬼裂の出現
東対へと移動しながら雪乃は命様について鼻息も荒く語る。
「命様はね、鬼が現世に現れたときのみ石棺から出ることが許されるのよ? 前回の厄災から数えておよそ200年もの間、たったお一人で石棺に封じられていらっしゃるの!」
「おおっ! 雪乃ちゃんは随分と真面目に本家の歴史を学んできたんだな」
「茶化さないで! 我ら守護はご当主様のみならず、結界の姫君をもお守りする存在。いわば姫様は我らの主君!」
「姫様が石棺よりお出ましになるということは、私達が鬼童を倒しきれずに鬼の出現を許してしまうってことになります……」
おずおずと菜々花が申し立てると雪乃は大きく頷いた。
「そう、姫様にお出まし頂く前に鬼裂を塞ぐことこそ我らの使命なのよ!」
「へいへい、雪乃姫様の仰せのままに!」
「ちょっと! あなた理人って言ったわよね?」
更に文句を言いかけた雪乃の腰で祓刀がリンと鳴る。
「鬼裂が開いたわ!」
5人は床を蹴り、本殿の大広間へと舞い戻った。
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