私のつがい、今すぐに名乗り出てください!

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 帰宅したリズはノエの部屋に向かっていた。  ノエの父から聞いた話に疑問を感じていたからだ。  彼曰く、ノエの仕事はまだ何も増えていないらしい。リズがいる間は今のままでと彼自身から要望があったそうだ。  それなのにどうして最近姿を消すのか、なぜ嘘をついてリズを避けているのか。気になることがあると直接聞きたくなるのがリズの性分だ。  ノエの部屋でノックをするが、返事はない。少し扉が開いている。花の香りがする。 「ノエ、いるの?」  ノエはそこにはいなかった。きっちり整頓された部屋だが、いつもと違うのは花束がいくつか置いてある。どれも白いすずらんだ。束になったすずらんは水色のリボンがかかっていて清楚で可愛らしい花束だ。 「なにこれ。」  最近見かけないと思ったら、こんな花束を作っていたのか。  そういえば最近彼から甘い匂いがしたのを思い出す。  もしかしてノエは恋人ができてしまったのではないだろうか。その香りだろうか。だから最近見かけないのかも。  ……いや、違う。  彼の恋人を想像して一瞬胸が痛くなったのだが、もう一度部屋の雰囲気をみてリズは違う、と思った。  これはまさか……。嫌な予感がじりじりと背中をはいあがってくる。  花束に使われている花は全てすずらんだ。そして部屋にはいくつもすずらんが落ちている。机のにも、ベッドの上にも。部屋のあちこちにすずらんばかりが。  まさか……まさか……!  彼がそうだといいなとは、リズに痣が浮かんだ朝、少しだけ願った。  でも、一週間たった今は違う。  リズは屋敷を飛び出した。ノエは今どこにいるんだろう。早く彼に会わないと、手遅れになる前に。
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