私のつがい、今すぐに名乗り出てください!

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 リズはソワソワしながら毎日国からの便りを待っていたが、一週間しても音沙汰はなかった。  最初はどんな相手か早く知りたくて気が焦っていたのだが、今はそれよりも相手が心配でならなかった。  この花蜜病、アピス側にはリスクはない。つまり相手が名乗り出なくてもリズの健康になんら問題はない。  しかし相手はどうだろうか。同じ時に痣は現れ、病は発症すると言われている。  いつから病状は進行して、いつ死に至ってしまうのか。  まだ見ぬ相手の状況を考えると不安になる。この国の者であれば一度はフローラになった時のことを想像する。身体が散っていく悪夢を見たこともある。  それを考えるとリズは居ても立っても居られなかった。ノエを連れてまた王城へ向かうことにした。 ・・  王城の窓口で話を聞いてみたが、フローラの申請手続きはまだされていないようだった。窓口担当も過去に同様の例がなく戸惑っていた。  帰路、リズは考えていることをノエに共有することにした。考えがまとまらない時はいつもノエに話した。話しているうちに自分の中で整理され、方向性が見えることもあるのだ。 「ねえノエ、もしかして私のフローラは痣に気づいてないんじゃないかしら。」 「そんなことありますかね。」 「ないかあ。あ、もしかして私の胸にあらわれた痣が、偽物だったとか?」 「それもないでしょうね。」  今回の話は、整理するまでもなく全てあっさり終わってしまった。 「この病について詳しいことは知らないのよね。花が咲き乱れて最終的に死に至ることは皆知っていると思うけど。」 「確かにそうですね。」 「今から図書館に行ってみない?花蜜病の文献もあったはずよ。」 「ああ、すみません。これから用事があるんですよ。」 「また?」 「お嬢様が結婚されることになってから、他の仕事が増えましたから。」    リズが嫁いだ後、彼は父の跡を継ぎ、オルグレン家の執事長になることは聞いていた。  その話通り、リズの顔合わせが終わってからノエは頻繁に姿を消していた。声をかけようと思っても見当たらないことが多い。いつもは後ろにピッタリついてきてくれたのに。  結婚後はこれが当たり前になってしまうのだから慣れなくては。 「それじゃあ図書館はまた今度にするわ。」 「そうですか……あっ、すみません。私はここで失礼します。」  ハンカチで顔を拭きながらノエはそう言うがいなや、すぐに立ち去ってしまった。トイレにでも行きたかったのだろうか。 「あら、ノエ何か落としたわよ。」  ノエのハンカチから何がひらりと落ちてきた。白い小さな花だ。
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