2776人が本棚に入れています
本棚に追加
いらなくなった私をどうするか、両家で話し合いが始まったけれど、そのまま本宮の養女として、育てられることになった。
ただし、私を養女として迎えた弟夫婦の元ではなく、本宮の祖父母の元で。
――私はあの時、戻りそびれてしまった。
そして今、私を育ててくれた祖父母が亡くなり、郷戸の家へ戻された。
厄介払いと噂されるのも無理はない。
結婚の口約束だけで、相手に逃げられては困ると思ったのか、父の行動は早かった。
本来、嫁ぎ先側でやるはずの宴席も父が段取りし、村中に声をかけ、あっという間に嫁入りの支度を整えてしまったのである。
「郷戸の旦那はうまくやったな」
「まったくだ。嫁がせておけば、外聞も悪くない。それも金持ちらしいし、めでたい話じゃないか」
集まった親戚たちは、父を褒め、羨ましそうにしていた。
その父は、兄と妹に相応しい結婚相手がいないか、親戚に声をかけて回っている。
お酌をし、私には目もくれない。
こっちをずっと見ているのは、二つ下の妹だけ。
私の妹の玲花は目鼻立ちがくっきりして、西洋人形のように可愛らしい。
微笑めば、芙蓉の花のように艶やかだ。
最初のコメントを投稿しよう!