(序)本日、契約妻になりました

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 いらなくなった私をどうするか、両家で話し合いが始まったけれど、そのまま本宮の養女として、育てられることになった。  ただし、私を養女として迎えた弟夫婦の元ではなく、本宮の祖父母の元で。  ――私はあの時、戻りそびれてしまった。  そして今、私を育ててくれた祖父母が亡くなり、郷戸の家へ戻された。  厄介払いと噂されるのも無理はない。  結婚の口約束だけで、相手に逃げられては困ると思ったのか、父の行動は早かった。  本来、嫁ぎ先側でやるはずの宴席も父が段取りし、村中に声をかけ、あっという間に嫁入りの支度を整えてしまったのである。 「郷戸の旦那はうまくやったな」 「まったくだ。嫁がせておけば、外聞も悪くない。それも金持ちらしいし、めでたい話じゃないか」  集まった親戚たちは、父を褒め、羨ましそうにしていた。  その父は、兄と妹に相応しい結婚相手がいないか、親戚に声をかけて回っている。  お酌をし、私には目もくれない。  こっちをずっと見ているのは、二つ下の妹だけ。  私の妹の玲花(れいか)は目鼻立ちがくっきりして、西洋人形のように可愛らしい。  微笑めば、芙蓉の花のように艶やかだ。
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