「醜い」が怖い私の話。

1/1
前へ
/1ページ
次へ
私はひいおばあちゃんが大好きだった。 とても、とても優しい人だったからだ。 でも私は、ひいおばあちゃんが本当に大好きだったはずなのに、記憶に一番残っているひいおばあちゃんの言葉は 「美奈は鼻が低い子だね。」 ただそれだけだった。 朝 私の朝は早い。 4:00に起きて歯磨きをして顔を洗って、体重を今以上に増やしたくないから1時間のランニングをして。 帰ってきたらシャワーで汗を流して、その後に朝ごはんを食べる。 諸々を済ませて6:00になるとそこからはひたすらに身だしなみを整える。制服を着て、薄く見える化粧でスクールメイクを済まし、髪はアホ毛や寝癖を一切許さないとばかりにワックスを少量付けてストレートボブの髪型をきっちり整えた。 工夫としてその時は鼻歌を歌ったりして、できるだけ楽しい時間と自分で思えるようにしている。 「美奈って完璧主義だよね」って言われたこともあるけど、私はただただ容姿がコンプレックスなだけ。その他はそうでもない。 私はただ「変」だとか「不細工」と思われるのが嫌なだけ。 あっ。 さっきまで歌っていた鼻歌が途切れていたことに気がついた。 ほら、コンプレックスどうのって考えてたらなんかネガティブな気分になってきちゃった。これが嫌だからいつも鼻歌を歌ってるのに。 私はまた、鼻歌を歌いだした。 (この曲最近お気に入りなんだよね。) 最終チェックを済ませて洗面台に置いている時計で今が7:30なのを確認して玄関に急いだ。ローファーを履いて少し深く息を吸って「行ってきまーす!」そう言うと奥から母の声で「はーい」と聞こえた。 私の高校は家から近い方だけど30分はかかってしまう。自転車で行くのもいいと思ったけど、運動も兼ねて徒歩で私は通学している。 高校1年生の時から変わらない、見慣れた風景。まだこの道を通るようになってから2年目だけど癖の強い人は特に覚えてるから、今日はあの人いるかな、とか無意識にも探してしまう。 すると数十メートル先の曲がり角を曲がってこちらに歩いてくる20代の女性を見つけた。 あっ今日もいた!あの茶髪ロングでスタイルが良いお姉さん。 私の理想はあの人ぐらいの体型。 足は細く長くて、身長も高くて、なにより美人。本当に羨ましい。お姉さんを見かけるたびについつい羨望の眼差しで追ってしまう。 お姉さんとすれ違ってからしばらくは自分の足元を見ながら歩いた。 ああなりたいけど、まだまだ私は太ってる。「痩せたら美人になれる」とか思っているわけじゃないけど、痩せたら今よりはかわいくなれるはずだと私は信じている。 今は身長が162cmで体重が52kgとかだから、あと5kgぐらい痩せたらあのお姉さんぐらいになれるかな…。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加