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ゆみはカイトを隣に座らせると
酒も作らせず、しばらく彼の顔を触り
スキンシップを楽しんでいた。
「まじ顔整ってるねー。
超綺麗・・・・・
あたしね美しいものが大好きなの。
ずーっと見てられる・・・・・」
「綺麗な方に綺麗と言われると
素直に嬉しいですね。
ありがとうございます。
でも・・・俺は俺の顔より
ゆみさんの方が
もっとずっと好きですよ。」
「そんなんじゃ
あたしは落とせ無いけど?
ふふっ・・・ねぇ・・・
あなたの両親の写真とか無いの?
見てみたいわ。」
「・・・親は去年死にました。
自由奔放な親だったんで
寂しいとかはなかったですけど・・・」
カイトの頬を触っていた
ゆみの手が止まった。
一点を見つめぼーっとするゆみの手を
優しく包みカイトは寂しそうな顔で
精一杯の笑顔を作って見せた。
「こんな話つまらないし止めましょう。
お酒作らせて頂いてもよろしいですか?」
そう言って手を離し
酒を作って彼女の前に置くと
No.2から呼び出され
カイトは控え室に戻った。
「あいつは俺の金ずるだ。
間違えても寝るなよ?」
「・・・はい」
入れ違いでゆみの席に
No.2白狐が入った。
店長にサポートに付くよう言われ
カイトは白狐と反対側の
ゆみの隣に座った。
他愛もない話をしてカイトは少しの間
別の席に呼ばれてゆみから離れると
その間に白狐とゆみは喧嘩になった。
ゆみは帰ると言って会計を済ませると
白狐の見送りを拒否し1人で出て行った。
カイトは彼女を追いかけた。
「ゆみさん!」
足を止めたゆみは
今にも泣き出しそうな気持ちを
必死に堪えて言った。
「1ヶ月で200万・・・
仕事いくつも掛け持ちして・・・
必死に会いに来てるのに・・・
毎回、金金ってさ・・・
金渡さなきゃ抱いてくれないし・・・
わかってはいたつもりだよ?
でも本気だとか・・・
俺の女とか言われたら・・・
嫌でも期待しちゃうじゃん・・・」
トサッ
ギュッ
「・・・ゆみさん・・・俺と逃げる?」
カイトはゆみを抱き締めて
耳元で囁いた。
その光景を
店がある3階の踊り場から
見ていた白狐は翌日、
カイトを人気の無い廃工場へ呼び出した。
ゴツッ
カランッ
カラカラカラ
カイトは鉄パイプで白狐の取り巻きに
殴られていた。
「手を出すなって言ったよな?」
「っつ・・・
寝るなって言われただけです。
しかも寝てないし」
「一緒だよ。
俺がNo.1になるには
あいつらが必要なんだよ。
俺の為ならなんだってやって
金作るんだ・・・でもな・・・
それでもまだまだ足りねーんだよ!!」
ゴッ
バゴッ
ドサッ
「・・・彼女さんじゃないんですか?」
カイトの問いに
高笑いをした白狐が答える。
「バカかてめぇは!!
んなわけねーだろ!!
金作るだけのブタだよ!!
お前知ってるか?
作れなくなった女は
体のパーツ売って作らせんだよ!!
だからお前も
俺に捌かれたくなかったら
大人しくしとけ。」
そう言って彼等は立ち去った。
工場の片隅で物陰に隠れていた
ゆみが泣きながら出て来た。
しばらく泣くと
目が覚めたと言った。
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