最終章~証言~

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3階から家の裏をチラッと見ると 1階まで降りて 雪がサラッと積もった裏の畑に行くと いきなり足を止めた。 壱能はゲームを止めない。 米津はすかさず 鑑識にそのポイントを掘らせると 腐敗し所々が白骨化した 3人の遺体が出てきた。 辺見家の父親と母親、 それと増田の遺体だった。 また歩き出した壱能は家の中に入ると 何もない真っ白な壁の前で止まり 米津が探ると壁が開き 地下への階段が出てきた。 壱能が何かを感じたのかゲームを止め 優しい笑顔で階段を降りて行くと 1つ目の拷問部屋を開けた。 天井から吊るされた 触家と玲奈の遺体に 居合わせた彼等は目を疑った。 陰部は多少腐敗していたものの まるで眠っているかのようだった。 死んでから 日数が経っている可能性が高いのに 陰部しか腐敗していない事の方が 不思議だった。 ベッドに横たわっていた ゆみの遺体は吊るされた2人と同じく 陰部が多少腐敗しただけだった。 幸子の遺体は乳首と陰部が 多少腐敗していた。 しばらく全員が無言でその異様な光景に 立ち竦んでいると 米津がハッとして動き出した。 「なんつう部屋だよ・・・ 拷問器具に拘束器具・・・・・・ 3階の部屋が全部可愛く思えるぜ・・・」 辺りを見回しながら中へ入っていく。 壱能は隣の部屋を空けようとしたが 内側から鍵がしてあった。 1時間掛かってようやく鑑識が解錠し ドアを開けるとカラカラに枯れ 色褪せた植物の中心にベッドがありその上に男女の遺体があった。 男はガリガリに痩せ細っていた。 「米津!!」 壱能が米津を呼び捨てにするのは 本気になった証拠だった。 米津が来ると2人は話始めた。 「女性の方・・・ 妊婦さんだ・・・ 流産してても取り出さなかったんだね。」 「全員見えてるのか?」 「・・・あぁ・・・ お腹の子を真っ先に出してくれ ここに来てから 彼女がずっと助けてって言ってるし 赤ん坊は出たがっている。 急いでくれ。」 「わかった!」 「1階に応接間があったろ? あそこと・・・彼女、借りるぞ。 誰も近付けないでくれ。」 そう言って壱能は桜井と笠間津を連れ 1階の応接間に行った。 3人が応接間に入り扉を閉めて 中から施錠すると 笠間津がテーブルの上で 持っていたアタッシュケースを開き 準備を始めた。 特殊なメガネをかけ 壱能は桜井にもメガネをかけさせた。 笠間津は特殊なビデオカメラを準備して パソコンと繋いでいた。 コンコン カチ カチャ 壱能がドアを開けると 米津が立っていた。 「悪い。 さっきの妊婦だが、 科捜研に運んで そっちで開腹する事になった。 そっちでなんとかできるか?」 「まぁそうなるよね。 仕方ない。 いつも通り僕が終わるまで 遺体は動かさないでね? ちょっとでも動かしたら・・・ ・・・ふふふっ・・・」 壱能がそう言って 不気味な笑みを浮かべ ゆっくりドアを閉めた。
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