森の精霊

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 向かう街には海はない。それに対して、私が住む街は海と山に(はさ)まれている。  そして、冷たい海から流れてくる風が、数字以上に身体を冷やす。  当然、暑さには弱くなるので、このくらいの風なら問題ない。  ドライブも快適だ。  ただ、この辺りは電波状況が良くないようでラジオが()こえなくなった。代わりに好きな音楽を流す。  ヴァイオリンの旋律が初秋の湖に合っていて、ドライブをさらに快適にする。  でも、リラックスしてはいられない。  走っているのは国道だけど、想像するような道路ではない。  住む街から目的地へは、複数の国道が通じている。  一番走りやすいのは、海沿いを通り、空港の街を経由する幹線道路。  交通量が多くて場所によっては渋滞するけど、コンビニやスーパーがたくさんあるので安心感は大きい。
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