57人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
***
初めて通る道だけど、走りやすくて快適だ。
これなら、思ったよりも早く到着しそうだと思った。
人家がないということは信号もないということ。つまり、停止時間がないのだ。
予想よりも早く目的地に到着すれば、それだけ長く書店にいることができる。思うだけで楽しみになる。
順調に走っている時、何かに気づいた私は思わずブレーキを踏んだ。
左の森に何か動くものがいる。
本能的な警戒感が、通り抜けることをためらわせた。
車から十メートルほど先に現れたのは……
エゾシカの群れだった。
最初のコメントを投稿しよう!