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リビングのテーブルには食べ終えたピザの空箱と、俺が浴びるように飲んだ缶ビールの空き缶がいくつも転がっていた。
この状況、飲まないとやってられない。
「公近さん、飲み過ぎです。水飲んで。」
「嫌だー」
「酔うとめんどくさいんですね。」
「わるかったな!」
「そういう所も可愛いですけど」
「なんか言ったか?」
「なんでもないです。」
俺はソファーに寝転んだ。
「公近さん、水飲まないなら僕が飲ませますよ。」
「いいよー。あーん。」
俺は口を開けた。
「まったく、あなたって人は。」
すると、紅林はペットボトルに入ったミネラルウォーターを口に含んだまま、俺にキスをした。
俺の口の中に、水が流れ込んでくる。
それを1口ごくんと飲み込んだ。
「もっと。」
「酔うとお強請りもできるんですね。でもだめです。寝ますよ。」
紅林は俺を抱き抱えると、寝室のベッドにそっと寝かせた。
「服苦しそうなので、ボタンだけ外しますね。」
「うん/」
紅林の手が俺の首筋にそっと触れる。
もっと触って欲しいと思うのは、きっと、酔ってるせいだ。
俺は自分に言い聞かせた。
「公近さん、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
紅林が行ってしまう。
俺は咄嗟に紅林の袖を掴んだ。
「居て。」
「ふふっ、公近さんが眠るまで手を握ってます。」
「ありがとう。」
その夜、俺は紅林のぬくもりを感じながら眠りについた。
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