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俺は雑念を洗い流すかのように、頭からシャワーをかぶった。
紅林はどうして俺に構うのだろうか?
彼のスキンシップは、ハウスキーパーの域を超えている。
それを拒めない俺にも問題はあるが。
「書けないなら、僕が書けるようにしてあげます。」
あの時の紅林の言葉が、今でも頭の中で反芻する。
俺はその誘惑から逃れることができなかった。
そして、紅林の力も借りて書き上げた新連載の原稿は、担当編集者にも好評だった。
リアリティの中に、色気が出てきたと絶賛された。
次の締切も決まった。
俺はまた書かなくてはならない。
1度知ってしまった現実の快感に、妄想が敵うはずもない。
きっと俺は、再び、紅林の誘惑に負ける。
いや、違う。
これはよりよい作品を書く為に、俺にとって必要なことだ。
俺はあることを決意し、紅林の元へ向かった。
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