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「うーん……眩し…」
俺は眠気眼を擦りながら、目を開けた。
ん?ん?んー!?!?!?
「なんで!?」
「おはようございます。公近さん。」
「紅林くんがなんで俺の隣に?」
俺は昨夜の記憶を辿った。
原稿を書き終わって、紅林がソファーで寝ていて、それで、俺に、ああああああ。思い出すんじゃなかった。
「んはっ、警戒しすぎ。」
「紅林くんが言ったんだろ!」
「そういえば、そうだったかも。」
うん?なんとなく、昨日の紅林と雰囲気が違うような?
俺の気のせいか?
「原稿書けたんですよね?」
「うん。お陰様で。」
「それならもう少し一緒に寝よう?」
「え、あの/」
「だめ?」
そんな目で俺を見るな。
断れないじゃないか。
「だめ、じゃないです…/」
「なんで敬語?」
「紅林くんがわるいんだろ!/」
俺は恥ずかしさのあまり布団を被った。
「あ!そういえば、公近さんの小説にこういうシーンもありましたよね?再現ですか?」
「違う!」
「あ、公近さんの顔見れた。」
しまった。思わず、布団から出てしまった。
「いつもどうやって妄想するの?」
そういいながら、紅林は俺の頬に手を添えた。
そして、少しづつ距離をつめていく。
「いちいち、距離が近いんだよ!/」
「近づかないと触れないでしょ?」
「そうだけど、ってそうじゃなくて…/」
まただ。紅林のペースにのまれてしまう。
「大丈夫。僕と居れば公近さんはこれからも書けます。僕が公近さんの妄想を全部叶えるので。」
「頼んでない/」
「それなら+αということで。」
「勝手に決めるな/」
「本気で嫌なら、今、僕をベッドから引きずり下ろしてください。そしたら諦めます。」
紅林は真剣な表情で俺を見つめた。
この男は俺のファーストキスを奪った。
だけど、嫌じゃなかった。
俺は、足を踏み入れてはいけない領域へと進もうとしている。
頭で分かっていても、心は止められない。
「+αっていくら?」
「僕が一方的に協力したいので、対価は頂きません。」
「いいのか?」
「はい。その代わり、目覚めのキスでもしますか?」
「調子に乗るな!/」
俺は紅林の腕を振り解き、起き上がった。
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