お金はあるが、生活能力はない

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お金はあるが、生活能力はない

俺は官能小説家。 一応、人気という肩書きがつくくらいには売れている。 現在、締切に追われ、寝不足の日々が続いている。 気づけば、3日も風呂に入っていない。 最後に食べたものはなんだろうか? 執筆に集中すると、食べるのも、寝るのも忘れてしまう。 家の中は、洗濯物やゴミが散乱している。 折角の広い部屋も無惨な状態だ。 そんな俺に呆れ果てた姉の美琴が、ハウスキーパーを雇ったらしい。 姉はいつも事後報告だ。 ハウスキーパーのことも、今朝、連絡が来て、今日の夕方来るというのだ。 この状況をどうしろというのだ。 手の付けようがない。 しかも、締切が迫っているというのに、文章が全く降りてこない。 書けないのだ。 こんな時に、初対面の人が家に入ってくるなんて考えるだけで憂鬱な気分になる。 「シャワー浴びておくか。」 せめて、ボサボサの頭とヨレヨレのTシャツだけは何とかしようと、俺は重い腰を上げ、風呂場へと向かった。
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