陸〜Riku〜

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『佑弥くんが先に、私のこと見つけてね』 新大阪の駅で…いつも彼を先に見つけるのは私だった。最後のデートの時だけ…佑弥くんが先に私に声を掛けてくれたけど。 もう二度と聞けない声を少しでも聞いていたくて、気付けばそんなことを口走っていた。 「ん…当たり前やん。お前より先に見つけてそのまま捕まえて─…絶対に、離さへん。」 想像よりもずっと上をいく答えをくれるから…堪えていた涙が溢れはじめる。 『──佑弥くんっ、』 「ん?どーしたん、莉久」 『あのね、私…佑弥くんが好き、』 「……なんやねん今更、そんなん知ってるわアホ。てかお前より俺の方がもっとお前のこと好きやって…いつも言うてるのに、」 『──…ありがとうっ』 私を好きになってくれて、ありがとうっ。 『明日早いから…もう切るね?』 「うん…遅にごめんな?おやすみ…莉久」 『──…ばいばいっ、佑弥くん』 おやすみ…じゃなくて"ばいばい"って言ったのは…ちょっとした強がり。これくらいは許して欲しい。私だって神様じゃなければ仏でもない。佑弥くんを好きな…一人の女の子として、"ばいばい"を言いたかった。 約束の日─…新大阪で佑弥くんが会うのは莉久(・・)じゃない、梨麻さんだよ。 待たせてごめんね、ありがとう。 幸せになってね、佑弥くん。
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