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──…だから、
莉久が俺に告白してくれたとき、嘘をついた。
"元カノを引きずってる"
そう言えば…諦めてくれると思ったから。
一目惚れ、やったんやと思う…あの雨の日、偶然入った定食屋さんで莉久を見た時、心臓が飛び跳ねたんを今でも覚えてる。
それはさっきみたいに驚いたから飛び跳ねたんやない、確実に莉久に対してトキめいた。"可愛い、俺のもんにしたい"って、そんな欲求に一瞬にして包まれた。
だからっ…上司と飯を済ませてきた後やったけど"腹が減った"なんて嘘をついて、莉久と関わりを持とうとした。営業時間なんて遠に過ぎてるって分かってたけど…知らん振りをして─
知れば知るうちに莉久がかわいーてしゃーなくて。付き合いたいって自分もそう思ってたけど俺は莉久を簡単に傷つけてしまうようなデッカイ爆弾を一つ抱えてたから─…
"元カノを引きずっている"
"目の前に元カノがおったらそっちを選ぶ"
──…なんて、嘘をついたんや。
そう言えば莉久が、俺を諦めてくれると思った。傷つけたくなかった。俺の口からでる爆弾で、後から莉久を傷つけるくらいなら付き合う前に嫌われようと思った。
せやのに莉久は─…俺が元カノに会うつもりが無いなら、自分が1番になれる可能性がある
なんて…初めっから俺ん中で莉久が余裕で一番好きに決まってんのに。そんな愛しい言葉と共に、こんな最低な俺と"付き合いたい"って…言うてくれたんや。
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