海〜Umi〜

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『ごめん…なにそれ?意味分からんねんけど』 口調が冷たくなってしまうのは仕方が無いと思う。既にいま…俺は冷静ではない。 梨麻は震える手で手紙を必死に俺に差し出してくるけど…それを手にする勇気がない。 ──…は?なにこれ、何なん? っえ…だってこれどう見ても…莉久やん。莉久の字やんっ…分かるに決まってる、この二年ずっと好きやった女の書いた文字を…俺が間違えるはずがない 『なんでっ、梨麻が…莉久の書いたモン持ってんの?』 思わず胸ぐらを掴みそうになったのを、ギリギリのところで堪える。梨麻が何の病気やったんか結局は知らんと終わったけど…俺みたいに。 見た目には分からん、爆弾みたいなんを抱えてるタイプやったら…下手に刺激するのはアカンって分かってるから、分かってるけどっ、 『梨麻っ…答えてや、泣いてたら分からんっ』 つい、責めたような口調になってしまう。早く答えが知りたくて…この手紙が何なんか、教えて欲しくてっ─…
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