陸〜Riku〜

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「あーあ、やらかしたなぁ…俺。もしかしたら飛ばされちゃうかもね。そうなったら小宮秘書…俺に着いてきてくれる?」 韓国…仕事のトラブル案件が終わった以上なにもすることがなく…常務と二人で夕方からサムギョプサルを食べに来ていた 前回と同様…緑色の瓶に入った焼酎を飲みながら、そんなぶっ飛び発言をした常務。しかし…酔っ払いの相手なんてするメンタルは私には残っていない 実は─…佑弥くんから、何度も着信が入っている。用があればメッセージを送ってくれればいいのに、それをしてこないあたり…いい内容ではない気がして、、とても折り返すことが出来ない そんな私のメンタルを知るはずもない常務は、ポン…っと、私の頭の上に自身の手のひらを乗せて、、 「──…頑張ったね、莉久ちゃん。」 たぶん、彼は酔っていて─…気分が良くなって私のことを名前で呼んだだけ。なんの意味もない。明日にはきっと忘れてるだろう。"頑張った"って言葉も…おそらく通訳として間に入って仕事をしたことを褒めてくれたんだと思う。 ──…でもっ、 「………ん?っえ、ちょっと待って!何で泣くのっ?!いや酔い覚めたわっ、、小宮秘書が泣くとかなにごと?!明日世界終わる?!」 涙が止まらなかった。"頑張ったね"って…誰でもいいから…言って欲しかった。 だって頑張ったもん、私。大好きで…どうしようもなく好きで、今だってこんなに苦しくなるほどに好きな人のことを…手放したんだから。 誰でもいいから、褒めて欲しかった。頑張ったねって言って欲しかった…莉久は頑張った、よくやった、いい子だね、幸せになれるよっ─… そんな言葉を聞いて、自分のした事が間違いじゃないって…思いたかった。後悔…したくなかったんだ。
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