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「なるほどですね・・・。気を付けないとですね。」
「お願いだから、男に振り回されて身を滅ぼすのだけはやめてよ。お、着いたかな。」
そんな話をしている内に目的地のスーパーマーケット『田代マート』へ到着した。時刻は午前10時20分。まだ開店して間もないスーパーの駐車場に止まっている車は疎らだ。流石にちょっと早いのでは?と思ったけど、高取さん曰くこの時間がベストとのこと。
「ここのオーナーは約束の時間の少し早めの時間に行くと快く接してくれるから。10分前とか最高だよ。約束の時間が10時半だから・・ほら、丁度良い時刻でしょ?」
そう言って高取さんは腕時計で時間を見せてくれた。「相手のことを知ることが、相手から良い返事をもらえる一番の近道」と始めの引継ぎの時に言われたことをふと思い出した。人それぞれの考えや価値観・性格があり、全ての人に同じアプローチをしても上手くはいかない。かと言って良い顔をすればすぐにバレてしまうから、相手が重要視している点を見極めて話を進めることが大事なんだと、教えてくれた。働く情熱を失っている内にこのことを忘れかけていたのかもしれない、いやもうそんなものの欠片すらないように感じる。この欠片を再び手に入れるようになるには、今回の商談に懸かっているような、少し気負っている気もするけど、そう感じた。
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