15人が本棚に入れています
本棚に追加
11. 苺のリュック
職員さんへの質疑応答コーナーの後、自由時間になった。
途中、イーディスの姿が無いのに気がついた。ガーウッド先生と一緒に探すも見つからない。
牛舎の裏を覗いた時、三人の男子生徒に囲まれる彼女の姿があった。ハンカチを届けた子たちだった。
苺柄のリュックを投げ合って笑う彼らと、それを必死に取り返そうとするイーディス。
「やめなさい!」
叫んだ次の瞬間、突風とともに土煙が巻き上がり、身体の横を黒い馬が駆け抜けた。乗っているのはクィン先生だ。
先生は手綱を振り下ろし馬を加速させると、生徒の一人が持っていたリュックを素早く奪い取った。
馬から降りた先生は、三人を凄い剣幕で叱った。
「あなたたち、下級生を寄ってたかって虐めて恥ずかしくないの?! 彼女に謝りなさい、今すぐ!!」
一人の男子が口を開いた。
「彼女も悪い、ハンカチを届けてやったのに何も言わないし」
「そうだよ、普通はありがとうの一言くらい‥‥‥」
もう一人の男子も言う。
「彼女は事情があって言葉が話せないのよ」
私が説明すると、彼らはバツが悪そうに顔を見合わせた。そこに担任らしき男性がやってきて、事情を聞くなり何度も謝り生徒たちに謝罪をさせ、二度とこんなことをするなとキツく注意していた。
最初のコメントを投稿しよう!