13. 銃乱射男

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13. 銃乱射男

 ある日のお昼時間、平和な食堂に銃声が響いた。いつの間に侵入したのか、銃を持った男が食堂の入り口付近で何かを喚いている。  子どもたちが泣き叫びながら逃げ惑う中、男は無造作に発砲した。銃弾を浴びたガラスが割れる。 「みんな、机の下に隠れて!」  私の指示は混乱の中では届かない。  次の瞬間、クィン先生が男に飛びかかった。しばし揉みあったのち腹に右のボディブローを見舞い、ひるんだ男の銃を持った方の手を左足で蹴り上げた。宙を飛んで落ちた銃は、床を滑って私の靴に当たった。私は咄嗟にそれを手に取り、男の頭に突きつけ叫んだ。 「観念なさい! 生徒を傷つける奴は、誰であろうと許さない!」  クィン先生が男を床にねじ伏せた直後、ガーウッド先生が来て男の両手首をロープで縛った。  男は大声で捲し立てた。 「10年前に虐められた時、ここの先公どもは見ないふりをした! お陰で俺の人生は滅茶苦茶だ!」  皆が男を呆然と見つめる中、イーディスがとことこと近寄って行って男の頭を撫でた。男は最初ポカンとしていたが、情けない声を上げて泣き出した。  間も無く警察が到着し男は逮捕された。衝撃的な事件だったが、生徒が誰も怪我をしなかったことが何よりの救いだった。
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