3. 一人の少女

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3. 一人の少女

 私の担当する2年生のクラスは女子が10人、男子11人の計21人だった。  一時間目の授業はオリエンテーションをした。教室に入り生徒一人一人の顔を見渡した後、机を片付けて輪になって座るようにと指示した。円座になった生徒たちは皆これから何が始まるのだろうと、好奇心と緊張半分ずつという表情だ。 「初めまして、私の名前はアグネスよ。趣味は絵を描くことと犬と遊ぶこと。早くみんなと仲良くなれたらいいな」  生徒たちの表情が柔らかくなったのを見て、私も安心した。  次に、生徒たちに自己紹介をしてと指示した。    最初に指名したのはマーガレットという女の子だった。予め、校長からクラス全員の顔写真と名前の書かれた紙を渡されていた。  名前を呼ばれたマーガレットは立ち上がった。 「私はマーガレット。好きなことは、お菓子作りと可愛いお洋服を着ること」  彼女の黄色いワンピースを指して「そのワンピース、似合ってて凄く素敵よ」と言うと、マーガレットは頬を赤らめありがとうと答えた。 「みんな、マーガレットに何か聞きたいことはある?」  隣のサシャが手を挙げた。 「お菓子は何を作るのが得意?」 「チョコチップのクッキーかな」  オリエンテーションは和やかに進んだ。  途中、俯いているイーディスという少女の名前を呼ぶと、サムが首を振った。 「イーディスは、喋れない」  そこで、クラスに失語症の子が一人いると校長から事前に教わっていたことを思い出してはっとした。詳しく聞いていなかった自分を恥じた。  私は代わりにイーディスの友人というカレンに、代わりに彼女の紹介をしてもらった。イーディスは動物と自然が好きらしい。  自己紹介の後は、生徒たちが用意した歌を歌ってくれた。
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