緑色のおじちゃんは僕のヒーロー

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一学期の終業式の日はあっという間に来てしまった。 僕は額と手に怪我をしたまま遅れて登校した。 「どうしたの煌くんその怪我」 「転んだの。僕、どじだから」 「血が出てるでしょ。すぐに保健室に行こう」 担任の先生がびっくりしてすぐに保健室に連れていってくれた。 「きらくん、もしかしたら虐待されているかも知れない。通報したほうがいい」 保健の先生が校長先生にそんなことを話していた。 頭を叩かれるのも、蹴られるのも、僕が言うことを聞かないからだって。僕が馬鹿だから教えてやっているんだって。あの人が言ってたよ。 「先生、トイレに行ってきます」 じいちゃんとばあちゃんに会えないまま知らないところには行きたくない。 トイレに行くふりをしてたまたま偶然開いていた窓からそっと抜け出した。用務員のおじいちゃんに気付かれないように足音を立てないように校門を出た。
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