緑色のおじちゃんは僕のヒーロー

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「おじちゃん嘘ついたの?」 「違うよ」 真新しい白い建物の前で知らない大人たちが僕を待っていた。 「さっきも言ったが、おじちゃんな昔刑事をしていたんだ。それで民生委員とかしていて、夜の町を徘徊する子どもたちに声を掛けて保護が必要だと判断した子どもを県中児童相談所へ通告している。きみを最初に見掛けたときからおじちゃんずっと気になっていたんだ。だから、それとなくきみのことを調べた。手遅れになる前にあの家からきみを助けたいと思った。ごめんな、言うのが遅くなって」 「ううん」 ペットボトルを握り締めぶんぶんと首を横に振った。 「斎藤さん、この子を保護するの二時間だけ待ってもらってもいいですか?どうしてもじいちゃんとばあちゃんに会わせたいんです。夏の大冒険というのをやらせてやりたいんです」 前例がないと難色を示す大人たち。 「じゃあ人質に車と免許証を置いていきます。もし二時間たっても戻ってこなかったら、未成年者略取でも何でもいい。逮捕してくれ」 「後藤さん正気ですか?」 「正気なにも。バスが来たぞ。走るぞ」 おじちゃんが僕の手を握ると勢いよく走り出した。
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