緑色のおじちゃんは僕のヒーロー

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「住所もなにも知らないの」 「そうか。何でもいい。覚えていることを教えてくれ」 「えっと」 4歳くらいのときの記憶を必死で思い出した。 「じいちゃんの家の近くに大きな洞窟があってこいのぼりが泳いでいて、アンテナが立っている高い山があるの。じいちゃんと探検したんだ」 「それだけあれば充分だ」 「え?もう分かったの?」 「だいたいな。ちゃんと覚えていて偉いぞ」 おじちゃんがニヤリと笑って頭をぽんぽんと撫でてくれた。 「自分で運転手に幾らかと聞いて両替して払ってみろ。俺ら以外客はいない。焦る必要はないからな。ゆっくりでいいからな」 おじちゃんが千円札を手に握らせてくれた。 「うん、分かった。やってみる」 おそるおそる運転手さんに声を掛けた。 親切な運転手さんのお陰で両替も、バス代も間違わずに払うことが出来た。 「おじちゃん出来たよ」 「良かったな」 バスから降りておじちゃんとハイタッチをして、そのまま駅に向かった。 「おじちゃんスペースパークにこの前遠足で来たんだ」 「そうか。楽しかったか?」 「うん。お弁当忘れちゃって。僕ってどじだよね」 本当はね、炊飯釜に一人分のご飯しか残っていなかったんだ。僕がおにぎりを作って持って行ったら、妹の食べる分がなくなるからおにぎりを作るのも朝ごはんを食べるのも諦めたんだ。
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