2人が本棚に入れています
本棚に追加
プロローグ
『そうだ、卒業式へ行こう』
言い出しっぺは中学生の頃の親友、関だった。十年近くスマホメールのやり取りすら無かった私達四人。唐突にメッセージが届いたと思えば、卒業式? 私は即座に文章をフリック入力して、送信した。
『卒業式って?』
『おっ、三葉ちゃん久し振り! 元気にしとったー?』
『質問に答えろやあ』
『ごめんごめん。俺等さ、中学の卒業式で色々と約束したよね? 覚えてる?』
約束、の二文字で、私の脳内で散らばっていた記憶の破片がカチリ、カチリとパズルのように繋がり始めた。もう少しで思い出せる、というところで、同じく中学時代の親友、星流と和菜が会話に入ってきた。
『三葉さんと関君、こんにちは。自分は覚えていますよ』
『和菜も来たよ、全員集合だー!』
『星流君に和菜ちゃん、やっほー! 話戻るな。中学校卒業式の日、空き地にタイムカプセル埋めたの、覚えてるか?』
嗚呼、そうだった。卒業式の一ヶ月前、和菜が「未来に青春と想い出を届けよう」ってタイムカプセルを埋めることを提案してきて。関の祖父が空き地を所有しているから、と卒業式終了後にそこへ集合して。
タイムカプセルに思い思いの宝物を入れて、大人になったら取り出そうねー、なんて子供らしい曖昧な約束をしたんだ。
『タイムカプセルを開く。それは、想い出を手に取るのと共に、あの頃に戻るのと同じ意味なのかなーって。だから卒業式へ行こう、四人で』
最初のコメントを投稿しよう!