私は知っていた

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 そして私へ。陰キャで、ありがとう。雑かなあ、別に良いでしょう。  自動車は、センチメートル単位の距離まで私に迫る。目を瞑ると、私の脳裏に空き地のシロツメクサがよぎった。  怖い。死にたくない。そんなの当たり前だ。でも、もう大丈夫。私は世界一の絆で結ばれている。この決意は揺るがないから!  バイバイ、世界。また明日、三人共!  強い衝撃が全身に響き、視界が反転する。痛みは想像以下で、階段の踊り場から転落したときのそれと似ていた。  五感が徐々に機能停止していく。残ったものは永遠と続く闇だけで、最期にはそれすらも消え失せた。
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