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再び集まる
あれから一ヶ月後。私、白土三葉は、懐かしき故郷のバス停の前に立っていた。先程まで私を乗せていたバスを見送ると、そこから一番近い公園へと歩を進める。
今日の服装は、白無地のワンピースに桃色のボレロ。これでタイムカプセルを掘り起こそうとしたら、帰宅する頃には黄土色のワンピースになっているかもしれない。
「でもでも、力仕事は男子二人が担当してくれるらしいからね……優しすぎるよ」
心の底からの本音を、麗らかな空気に解き放つ。だから私はお洒落に全力を注ぎ込んできた、というのは呟くまでもない。
今思い返せば、私達四人はお弁当の残りを掻き集めて出来たようなグループだった。
そう、学校とはお弁当箱だ。唐揚げや卵焼き、デザートのフルーツなどの美味しい人気者達とは違って、野菜炒めやピーマンの肉詰めなどの人を選ぶメニューがあるように。きっと陽キャが輪になって完成したグループが前者で、私達が後者だった。
でも、試食してみないと解らない美味しさがあるように、余り物グループの楽しさだって存在するわけで。想い出を巡らせていると、気が付けば公園に到着していた。
公園に行くのは高校生以来だから、大丈夫かな、迷子になっちゃうかな。なんて心配していたのに、記憶と足は「ここ」を覚えていたようだ。
きょろきょろと辺りを見渡すと、二人分の影がブランコで並んでいる。更に近付いてみると、その二人の顔が露わになる。
ブランコに座ってゆらゆらと揺れている一人は、童顔で小柄な体付きから、高校生程に見える男子。もう一人の方は、力一杯に宙を蹴って、ブランコを漕いでいる。黒マスクを着用しており、猫目でシャープな輪郭の男子だ。
間違いない。幼気な彼が星流で、黒マスクの彼が関だ。最後に会ったのは高校一年生のとき(遊園地で遊んだ)だけど、当時の彼等の姿と私の直感が「きっとそうだ」と告げている。
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