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私は駅にあるバス停へと向かっていた。その最中、横断歩道を渡っているときに自動車が私目掛けて突っ込んできたのが、全ての始まり。
四人で空き地に居るこの現状は、未来を観るバージョンの「走馬灯」に近い。四人でタイムカプセルを掘り出さないといけないのに、助けて、誰か!
そう懇願した一瞬で、私の脳は架空の世界を創り上げた。そこではバスを降りた後で、記憶も一部消去されていた。
なのに私は、私に抵抗しようとしていた。私が姿を見せたら、関と星流が大袈裟に驚いたのは、現実ではこんなこと、もう有り得ないぞ、と想いが叫んでいたからだろう。多分。
十年間に起こった出来事は、メールで三人から訊いていた。それが余計、私の不安を掻き立てる原因になったのだろう。
で、今度は私が全員助けないと、って意気込んだ結末がこれだよ。私はこれが欲しかったの? 本当に?
「早く行け。俺等は強く生きるさ」
「あたし達のせいで成仏出来なくなるほうが、よっぽど辛いよ」
「大丈夫。自分達四人は、」
独りではないですよ、と。星流の一言を最後に、映像が途切れる。一面真っ黒な場所に飛ばされたかと錯覚するが、瞬きをしたら現実に戻ってきた。右横から迫りくる暴走トラックは、止まる気配など一向にない。
……桃井和菜。私の可愛い妹みたいな存在。でも、明るすぎた一面は陽キャ女子に嫌われ、私達のグループに所属していたね。そのポジティブシンキングに、私は幾度も救われてきたよ。
菅野関。彼はクラスカースト最上位に居られる素質があったのに、私達を気遣ってこのグループに入った。まあ、繊細なグラスハートを所持しているけど、馬鹿正直に私達と向き合ってくれるところ、大好きだ。
五十嵐星流。学年一の秀才だったのに、天才と謎は紙一重なようで、周囲からは距離を置かれていた。確かに、不思議な要素は永遠に深堀り出来るほどあり溢れていたけれど、それ以上に素敵な感性を抱いている。将来は偉大な人になるのかな。
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