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「やっぱり目玉焼きには醤油だよなぁー
お前もそう思わねぇか?」
それは親しい友人に聞くような優しい声。
だが現実は優しくは無かった。
「ん”ん”ん”!!!」
「あぁ、そっか喋れねぇのか、すまねぇな。今剥がしてやるからちょい待ってろよォ?」
ビリッ!
「お”い!俺をここから解放しろ!俺が知っている事は何も無い!俺をここに捕まえた状態にしているのは時間の無駄だ!」
「は?」
ゾゾゾッ…
男は鳥肌が立った。たった一言だが威圧的な一言に。
「おいおい…違うだろぉ?俺が聞いてるのはよォ?目玉焼きには醤油だろ?て、聞いているんだ。分かんねぇのか?」
彼は苛立ったように言葉を発した。
「そんなくだらない事はどうだっていいだろう!!俺をこのままにしておくとボスがキレるぞ!!!」
「あ?おい、てめぇよォ?くだらねぇて言いやがったのかァ?俺にくだらねぇなんて言いやがったのかァ?あ”あ”?おい」
「あぁ!何度だって言ってやるさ!お前の話はぐだらねe」
グチャッ
男が次の言葉を発することは無かった。
いやわ違う。出来なかった。喋るための口が無かったのだ。いや違う。
口だけじゃない、心臓も無かった。
「はぁ…違うんだよなァ。俺の言葉はあの人の言葉。俺はただ読んだだけ。俺はどうだっていいさ。俺の言葉をくだらねぇと言われても。ただ。
あの人の言葉をくだらねぇと言うのは許せねぇなァ?おい。あ?おい、お前…死んでんのか?え?まじかよォ。あの人…ボスに怒られちまうぜ。まァあの人なら…良いか。あ!そォ言えばよォ!ご褒美にボスの正体を知るチャンスを貰えるって言ってたなァ!楽しみだなァ。ボスとは電話でしかやり取りした事がないからなァ。あァ。会って抱きしめて貰いてぇなァ。頑張ったねぇて頭を撫でられながらよォ。その後は…やべぇなァ勃っちまった。まぁ、いいかァ。さてかーえろっと」
彼は優しい瞳で…声で…気持ちで…彼の言うあの人の事を語った。そう。
冷徹鬼神の邪悪の中の邪悪と。
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