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「お時間が余りないご様子ですので、お髪は結い上げず、垂らしたままですが、申し訳ございません」
(うそ……)
どこから持ってきたのか、大きな姿見が引いて来られ、レイラさんの前に置かれる。
鏡の中にいるのは、今までレイラさんが見たこともないような、奥ゆかしくも愛らしい、清楚な女の子だった。
「これ……私?」
「へぇ、見違えたな」
突然背後から聞こえた男性の声に振り向くレイラさん。
先ほどの男性が、感心したように頷いていた。
「あの……」
改めて見ると。
実はスゴいカッコいい、って言うか、美形?
栗色がかったサラサラの髪。
濃い睫毛に縁取られた、濡れたように光る目元。
端正、って言葉が、見事に当てはまる、顔立ち。
繊細で女っぽくなりそうなのを、意志の強そうな眼の光が引き締めている。
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