第2話 こんな展開で恋に墜ちるとかあり得ないんだけど

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 肩より少し長い髪は、耳にかかる部分を編み込んで頭の後ろでひとつにまとめ、水色の鹿()の子で飾ってある。  残りの髪は後ろに垂らして。  鹿の子は小さめの花結びにしてあって、結び目から銀色がかった白い紐が数本垂らしてあって、動く度にシャラシャラ揺れる。  編み込みには小さな花かんざしが色とりどり、だけど(うるさ)くない程度に散りばめられていて。  メイクはきっちりされている。  薔薇色の頬、露を孕んだ目元、花弁のような唇……まるで元々そんな顔立ちだった所に、少し紅をさしただけ、みたいに自然な感じで。 「まもなく挙式が始まります。ご案内いたします」  どこからともなく現れたホテルマンが、レイラさんに声をかける。 (え? 何で知ってるんだろう?)  そんな疑問が顔に出たレイラさんを見て。 「失礼かと存じましたが、お召しになっていたお振袖の色や意匠をサロンに伝えて、確認させていただきました」  微笑んで答える着付けのお姉さん。
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