第2話 こんな展開で恋に墜ちるとかあり得ないんだけど

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「着物が乱れる。せっかく、こんなに綺麗にしてもらったんだから。ペコペコ頭を下げるな」  ふっ、と口の端を上げて、微笑んで。 「お辞儀する時は、まず相手に向かってきちんと挨拶をして。それから、背筋を伸ばして、首は曲げず、腰から下げろ。心の中でゆっくり五つ数えて。1、2で下げて、3で止めて、4、5で戻る」 「……ありがとうございました」  言われるまま、レイラさん、心の中で五つ数えて、ゆったりお辞儀した。  戻って『彼』の顔を再び見る、と。  呆気に取られたような、『彼』の顔。 「へ、変でしたか!?」 「……いや、とても優雅だった。ただ……」 「ただ?」 「……あんまり綺麗で、見とれた」  満面の笑顔で言われて、レイラさん、心臓がばくばくする。 「さ、行かないとね。挙式が始まるだろう?」  促されるまま、再び部屋を出て。  やや早足で歩みを進めていき。  (あれ?)  苦しくない。  それに、スタスタ歩ける。
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