第3話 それは貶されているのと紙一重の誉め言葉なのでは

2/8
前へ
/34ページ
次へ
 あの後。  遅れてきたと思ったら、お召し換えまでしていたレイラさんに、お母さんをはじめ親戚のオバサマ方に質問攻めになったレイラさん。 「あ、えっと、ホテルの人が、全部やってくれたの……その、お詫びにって」  しどろもどろなレイラさんの答えに、オバサマ方、顔を見合わせる。 「どういうこと!?」 「この着物、レンタルだっていくらするんだか……」 「総絞りじゃない! そりゃ貴ちゃんの振袖だって、手書き友禅の一点物だけど」 「センオウのソウヒキタシボリ、とか……」  つい聞きかじった単語を口にした途端。  オバサマ方の目が光った。 「センオウ!? って仙桜!? 人間国宝の!?」 「仙桜の総疋田絞りなんて!? 一点物も一点物! 数百万……ううん、何千万って物もあるのよ!?」 「……何、千万!?」  きゃー!  どうしよう!?  汚しでもしたら、弁償出来ないよー!  突然パニクるレイラさん。 「す、すぐ返さなきゃ!」  涙目のレイラさんを連れて、お母さんとオバサマ方、慌てて着付けサロンに行く、と。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加