第3話 それは貶されているのと紙一重の誉め言葉なのでは

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「あの、この着物のレンタル料って……」 「全て承っておりますのでご安心してお召しになって下さいませ。お帰りまでに元々お召しでしたお振袖も整えてお返し出来ます」 「あ、いえ、すみません」 「いえ、こちらこそご迷惑をお掛け致しました」  お姉さんに太鼓判を押され、結局、超高級振袖を着たまま、披露宴に臨んだレイラさん。 「さすがは一流ホテルねえ。着物を汚したお詫びに、そんな高級な振袖貸してくれるなんて」 「迷惑かけた」「整えてお返しする」という言葉で、てっきりホテルの人が振袖を汚して、お詫びに貸してくれたのだと納得したオバサマ方。 「でも、だからってこんな目玉が飛び出るような着物じゃなくてもよかったのにねえ」 「そうね。でも、よく似合ってるわよ」 「そうね。貴ちゃんはくっきりした顔立ちの色白美人だから、あの振袖も似合ってたけど」 「レイラちゃんには、こういう柔らかい色の方が似合うわね」  ……何となく、暗にレイラさんが色白でも、目鼻立ちくっきり美人でもないと言われたような気がしたんだけど。  似合うと言われたら、やっぱり嬉しい。  だって、女の子だもん。  とはいえ。
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