第3話 それは貶されているのと紙一重の誉め言葉なのでは

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 ……落ち着かない。  大丈夫だとは言われたけど。  万が一にも、汚したらどうしよう!?  防水防なんちゃらだかって加工がしてあるって言うけど。  それってステーキにかかってる、この濃そうなソースとか(多分グレービーソースのことかと)、白身魚にかかってる海老味の赤いソースとか(アメリケーヌソースのことらしい)とか、染みにならない!?  ってなわけで。  おそらく生まれて初めて口にしたであろうご馳走に、とても舌鼓を打つ余裕もなく。  幸い、というか、この日のお料理は和洋折衷の懐石フレンチ、というやつで。  年配の方にも配慮して、全てお箸で食べられるようになっていた。  もしナイフとフォークだなんてことになっていたら、多分レイラさん、袖を汚すのが怖くて、料理を口にすることも出来なかった恐れがある。  そんなわけで。
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