第3話 それは貶されているのと紙一重の誉め言葉なのでは

6/8
前へ
/34ページ
次へ
 背中を丸めると苦しいので、『背筋を伸ばして』。  こぼさないようにゆっくり『静静と』料理を口に運び。  親族なので下座だし、どこかにぶつかって振袖を汚したと思うと出歩けなかったので、会場の隅で『楚楚として』座っていた。  普段のレイラさんを知る身内まで、 「何だか今日はやけにお淑やかにしてるなあ」  なんて思ったりして。  だから普段のレイラさんを知らない人たちは(あまつさえ、挙式での振る舞いを見ていた新郎の親族は)。 「何て淑やかなお嬢さん」 「身内らしく控えめに振る舞っていて、お若いのに良くできた娘さんだこと」 「姿勢もよろしくて、優雅だこと」  そんな誤解をされているとは露知らず。  ひたすら無事に披露宴が終わってくれることを祈っていたレイラさん。  念願叶って披露宴が終わり、サロンで振袖を脱いで、やっと一息ついた。  で。  ただでさえ一日中大騒ぎでクタクタだったのに。  翌朝、目が覚めたら。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加