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長い車体の先頭には、エンブレムがついていた。
(ロ、ロールスロイス!?)
車体を見ても高級そうとしか分からないレイラさんも、エンブレムに書かれたアルファベットの綴りは読めた。
レイラさんでも知ってる、超高級車!
な、なんでそんな高級車が、一応庭付き一戸建てとはいえ、敷地45坪、総二階3LDKの庶民の家の前に停まってんの!? と、パニクって、家の前に立ち尽くすレイラさん。
「………………!?」
ただ呆然と立ち尽くしていたレイラさん、いきなり右手首を掴まれて後ろに引っ張られた。
「な…………?!」
「静かに!」
思わず叫びそうになったレイラさんの耳元で、小さく、でも強い語気で囁いたのは。
「た、たか……」
「だから、静かに! いいから、見つかる前にこっちきて」
昨日、盛大な結婚式を挙げ、今は空の上にいるはずの、花嫁。
幸せいっぱいのはずの、貴子さんだった。
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