第3話 それは貶されているのと紙一重の誉め言葉なのでは

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 長い車体の先頭には、エンブレムがついていた。 (ロ、ロールスロイス!?)  車体を見ても高級そうとしか分からないレイラさんも、エンブレムに書かれたアルファベットの綴りは読めた。  レイラさんでも知ってる、超高級車!  な、なんでそんな高級車が、一応庭付き一戸建てとはいえ、敷地45坪、総二階3LDKの庶民の家の前に停まってんの!? と、パニクって、家の前に立ち尽くすレイラさん。 「………………!?」  ただ呆然と立ち尽くしていたレイラさん、いきなり右手首を掴まれて後ろに引っ張られた。 「な…………?!」 「静かに!」  思わず叫びそうになったレイラさんの耳元で、小さく、でも強い語気で囁いたのは。 「た、たか……」 「だから、静かに! いいから、見つかる前にこっちきて」  昨日、盛大な結婚式を挙げ、今は空の上にいるはずの、花嫁。  幸せいっぱいのはずの、貴子さんだった。  
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