第1話 一応一張羅で登場したつもりなんですが……

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 悔しいやら怒りやら悲しいやら……とにかく軽くないパニックに陥って、へなへな座りこむレイラさん。  座った途端、胸とお腹が急激に圧迫されて。  結果的に、苦しみから逃れようとして、四つん這いになってしまい。  やっと少し、呼吸が楽になる、と。 (うぎゃあ! 裾がぐちゃぐちゃ!)  四つん這いになった拍子に裾を踏んでしまい、中に着ている襦袢(じゅばん)が丸見えになってしまっている。  何とか立ち上がると、裾が床に広がるほど斜めに引っ張られて、着崩れしていた。 (ど、どうしよう!?)  息苦しさに加えて絶望的な精神状態に陥って、さすがに楽天的なレイラさんも、気が遠くなってきた……って言うか、本気で目の前が真っ暗になった。 (あ……倒れる……)  状況を認識しながらも、奇妙な浮遊感に抵抗する術もなく。  後ろ向きに、重力に従い、倒れていくレイラさん。
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