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「って、思うじゃ〜ん?♪」
俺は言ってやった。
デブい癖に俊敏に動く豚野郎に向けて。
見るからに社会から馴染めそうにねえような引きこもりボディの筈なのにプロの格闘家のような動きをしてやがる。
これも人工知能のあのチップの影響なのかねぇ。
なかなか骨が折れるぜ。
だが残念だったな。
こっちは現役の喧嘩番長(自称)だい!
「響太!暴力じゃ解決できない!
同じこと何度も言わすな脳筋!」
メタボAIゾンビとサシで殴り合っていると、かなり距離ある背後でちょこんと座ってパソコンをいじっている女の子がいた。
名前はチョコ……明らかに偽名を使ってやがる。
「お前のその腰に身に付けてるのは飾りか!それを使ってさっさと"停止"させろ!」
チョコに言われるがまま、俺は刀を引っこ抜くようにそれを前に出した。
見た目は警棒……だが性能はスタンガンのような強力な電流が流れてるので先っちょにはご注意を。
「せい!」
隙のある相手の横っ腹に俺は電撃ステッキの先を押し付ける。
ビリビリビリ!!
電撃が走ると同時、敵は呻きながらぶっ倒れた。
AIチップが破壊されたんだ。
これは天才ハッカーと自称するチョコちゃんの開発した最強アイテムの一つだ。
「これさえあれば、俺達は何不自由なく幸せに暮らせるね♪」
「キモい」
「この戦争が終わったら、結婚しよう!」
「世界が滅んでも絶対に嫌だ」
本当に滅びかけてる世界の中そんなこと言われるとちょっと凹むなぁ。
俺という紳士なお兄さんがいるのに、何故この子は心を開こうとしないのか。
きっとこの狂った世界のせいなのだろう。
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