夢のくすり

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 夢のような薬を開発した。  私は長年製薬メーカーの研究員として働いていたが、癌細胞を根本から消滅させる薬を作りたかった。  まだ治験はしていないが、手応えがある。これが一般化したら、たくさんの人が救われる。上司にも認めて貰えるだろうと思っていたが、ボツだった。 「こんな完治する薬なんて作ったら儲からねーじゃないか。やり直し!」  私が作った薬は一部の金持ちだけに流通し、手柄も上司のものとなってしまった。  まあ、世の中ってこんなもの。  え、今話題のお注射とか抗がん剤とか抗うつ薬も同じカラクリですかって?  いや、勘弁してください。これ以上言ったら、私、消されるかもしれない。陰謀論って事にしておいて下さい。そう、ファンシーな陰謀論です。5Gにつながって人間拡張して宇宙人に捕まる注射を作ってます。  今日も絶対完治させない薬をせっせと開発中。  会社の外からは、薬害の被害者たちのデモの声が聞こえるが、無視。もう日常の雑音と化してしまっていた。  そういえば、薬品工場が大きな水害にあい沈没したそう。その影響もじんわりと受け、私もずっと忙しい。  天罰、なのかね?
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