今夜は2人で懐石料理

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 翔も結婚式なのだから、長めに休みがもらえそうだと話していた。  それならハワイの観光もしていきたい。  初めてハワイで二人が過ごしたときは、時間に限りがあって遠くのほうやほかの島へは行けなかったから、そういったところへ行きたいという話をする。 「航も新鮮な体験ができるね」  きっと航も楽しめるだろうと思って、果歩は言った。  子どもの海外旅行についても調べないとな、と思うけれど、楽しみな気持ちが今から湧いてくる。 「ああ。飛行機に乗るだけですでにはしゃぎそうだしな」 「ほんとに。はしゃぎすぎないか心配なくらい」  翔が言ったことは、きっと的確でその通りになるだろうと思ったので、果歩はくすくす笑ってしまった。  見るだけでもとても喜んでしまう飛行機に乗れるのだ。  どれほど嬉しがってくれるだろうか。  そういった意味でも、ハワイという場所はうってつけといえた。  ゆっくり話しながら美味しい料理をいただく時間は、普段と違う空気だった。  穏やかに流れる時間、ほんのり甘い空気、翔との会話……。  こういう時間を持つことは、きっと大切なんだな。  果歩はデザートに出てきた、美しい練り切りを切りながら実感した。  パパとママでいる時間は幸せだけど、気を張る必要があることも多い。  そういったことを休憩させて、リラックスして過ごす。  そんな時間をたまに持つことで、もっとパパとママでいる時間も充実させられるだろうな、と果歩は優しい気持ちで思った。  口に含んだ練り切りは、ほろりと優しい甘さで崩れていった。
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