ゴールインのその先へ

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「まーま! きれえー!」  チャペルの前、海が臨める場所へやってきたとき、母が航を抱っこしてやってきた。  航はきらきらした笑顔で果歩のウエディング姿を褒めてくれるので、果歩はさらに幸せな気持ちを覚えて、ふわっと笑った。 「ありがとう、航」  航も今日はおめかしをしていた。  黒の子ども用タキシード。  下は半ズボンに革靴。  着たときこそ、窮屈だと感じたようでちょっと顔をしかめていたけれど、式がはじまればその表情はすぐ変わった。  とても素敵なことだと知ったのだろう。  きらきらした表情がずっと続いていた。 「おめでとう、果歩」  暑いというのにきっちり着物姿の母は、目を潤ませながら祝福の言葉をくれて、果歩まで泣きそうになってしまった。 「航、おいで」  翔が航を呼び、航は翔の腕に移る。  しっかり抱っこすると、航は素敵な盛装をした翔の格好にもはしゃぎだした。 「ぱーぱ! かっこいー!」  褒められて翔も満面の笑みになる。 「はは、ありがとう。航もかっこいいぞ」  その様子をすぐ隣で見つめながら、果歩は感じ入っていた。  航は二歳半を目前にして、どんどん成長してきている。  そして顔立ちも、明らかに翔に似ているとわかるようになってきていた。  今だってすでに、活発でありながら、心優しい子に育ってくれている。  きっと大人になったら翔さんと同じ、カッコ良くて素敵な男性になるだろうな。  早すぎると思うものの、そんな幸せな展望が果歩の頭に思い浮かんだ。
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