1215人が本棚に入れています
本棚に追加
そう思ってしまった果歩に、逢見はやわらかに笑った。
「そうですか。夜の便ですか?」
「ええ」
何気ない会話が続いたけれど、そのうち逢見が、すっと先を指差した。
「早瀬さん、もしまだでしたら、ランチでもご一緒にいかがでしょう? 美味しいお店があるんです」
提案されて、果歩は驚いた。
まさか誘ってもらえるなんて思わなかったのだ。
でもすぐに、ぱぁっと心が明るくなる。
胸の鼓動が、心地良くとくとくと騒いできた。
「いいんですか? 良ければ、是非」
すぐに頷いていた。
逢見にはたくさん助けてもらったのだし、その優しさに何度も触れて、素敵だと思ってきた。
その彼に誘われれば、断るはずなんてない。
果歩が嬉しそうに頷いたからか、逢見の目元も笑みになる。
「良かった。少し戻ったところに、俺のよく行く……あっ」
楽しげに言いかけて、途中でハッとした様子で切った。
気まずそうになった、その理由はわかったので、果歩はくすっと笑ってしまった。
「普通に話していただいて大丈夫です」
最初のコメントを投稿しよう!