甘いおくすり

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一つ上の真美先輩を好きになったキッカケは新入社員の歓迎会だった。向かい側に座っている真美先輩の同期の凛子先輩が料理を取り分けたり空のグラスを纏めたりと甲斐甲斐しい姿を見せるその横で、真美先輩は個人的に注文した具沢山味噌汁をモリモリ食べていた。自由過ぎる真美先輩を眺めていたら、あまりにも美味しそうに食べるもんだからいつの間にか目が離せなくなってしまっていた。真美先輩が俺の視線に気付き目が合った。 「ん、どした?」 「あ、いや…。美味(うま)そうに食べてんなって思って」 「これ、ヤバいよ。食べた方がいい‼︎」 そう言って店員を呼び、俺の味噌汁を注文してくれた。食べ始めた俺に 「共犯だねー」 と言って笑ったその時の笑顔があまりにもかわいくて…その後からずっと、週明けもずっと、気付けばいつも真美先輩の事を考える様になっていた。先輩は俺の事なんて全く眼中にないんだけどさ…。
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