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喫茶店で互いに向かい合い、もうぬるくなったコーヒーを啜る。
「美咲さんと一緒にいるの、すごく楽しい」
そう言いながら目の前で笑う中村を見て、私は問うた。
「中村は、私が死んだら悲しんでくれる?」
彼は答えた。
「美咲さんは死なないよ。俺が絶対に死なせたりしない」
求めていた回答とは全く違う、ちぐはぐな答えに私は首を傾げた。
「美咲さんが死んだら、俺はきっと生きていかれない。どうして守れなかったんだろうって、自分を責め続けると思う。だから、絶対に死なせたりしない」
彼は穏やかな声音で「だから、大丈夫だよ」と言った。
私はカップに残ったコーヒーの最後の一口を、そっと飲み干した。壁にかけられた時計はすでに15時を指していた。
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