わたし②

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わたし②

 そいつは言った。  この薬を飲めば、おまえは幸せになれる。体がよくなり、健康に生きることができる。ただし、それは二十歳までだ。二十歳を過ぎたら、おまえの体は私がもらう。  それでもいい、とわたしは即答した。健康になれば、母に恩返しができる。例え二十歳まででも、十分だ。そもそもこんな体のままでは、長生きし続けたって母に迷惑をかけるだけなのだから。  わたしはあの時即答したのを後悔はしていない。ただ、二十歳になって、わたしがいなくなったら母がどんなに悲しむか。それだけが心残りだ。どうにかして、母を悲しませずに済ませることはできないだろうか。それが、わたしの今の悩みなのだ。
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