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まだ太陽は頭上にあり、爽やかな風が肌を通りすぎる。
ずっと好きだった彼と恋人になれた喜びは、緩みっぱなしの顔で分かるだろう。
「ひとつ聞きたいのだが?」
「何だよ?」
「私の事が好きなのに、君は何故よその女にちょっかいを出したんだい?普通そんな事をしたら私に嫌われるとは思わなかったのかい?」
エリオスの顔が固まった。今更その行動が私への印象を悪くする事に気付いたと言うような表情だった。
「いや、それは考えてなかった……。ただ、お前に焼きもち妬いて欲しかったって言うか……相手にされなくて寂しかったって言うか。けどよ!確かにあちこち手を出したけど、お前が考えるようなやましい事してないからな!勝手に噂されただけだからな!?」
「つくづく君は子供だな。それに変り者だ。こんな色気も無い私に好意を持つのだからな」
自分の言葉に女らしさのひとつも無いと、我ながら呆れてしまう。が、エリオスはそんな卑屈な気持ちを打ち消す答えを口に出した。
「お前は良い女だよ。言葉は女の子っぽくねぇし流行りの服も着ないけどさ、昔から勉強熱心で物知りな所を尊敬してんだぜ?それに笑った顔が可愛い」
「それは……あ、ありがとう……」
コイツの一言でこんなに嬉しくなり、赤面させられる。エリオスへの気持ちを改めて実感する。私は心から彼の事が好きだ。
「そうだ!」
ふと思い出し、エリオスに顔を向ける。そして言わねばならない事を伝える。
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