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私の店では様々な薬を取り扱っている。この世界は魔法と呼ばれるものが存在する。故に魔法の源である魔力を込めた魔法薬も、市場に出回っている。
風邪薬、胃薬、傷薬。これらは普通の原料で作られるが、魔法薬となれば特殊な原料が必要となる。
原料の調達には、自ら採取に赴くか、冒険者と言う魔物退治や護衛などを請け負う仕事を生業としている者に依頼するかだ。
私には戦闘の才能が無く、報酬を支払い、冒険者に採取の護衛をお願いしているのが現状である。
魔法薬は高く売れる。その効果も魔力回復や、傷を瞬時に治すポーションなどは、一般的な薬より効果が高く、回復も早い。
とある日射しの強い季節の昼下がり。我が店舗に男の客が来店した。その者を私は良く知っている。
「やあ、マツリアーナ。儲かっているかい?」
俗っぽい発言を発するこの客、エリオスは幼馴染であり、主に私の依頼を受けてもらっている。
この男、腕は立つのだが、どうにも惚れっぽく女癖が悪いらしい。
この前も良家のお嬢様を口説いておきながら、別の町娘と逢引きして修羅場になったとの噂を聞いたばかりだ。つくづく呆れた幼馴染だ。しかし、そんな男でも私には優しかった。
幼い頃、行ってはいけないと言われていた森に迷いこんだ時、足を挫いた私を彼は小さな体で背負い、家まで連れ帰ってくれた。
他にも色々あったが、いつもエリオスは助けてくれたのだ。そんな彼が私には騎士に見えたものだ。
それからと言うもの、エリオスを異性として意識しており、彼が他の女とナニしただの噂を聞く度に胸が締め付けられる思いだった。
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