朝を抱いて夜を泳ぐ

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  長い間同じ場所に、「ただ」居ると、次第に時間の存在が薄まっていく。 開くことの知らないカーテンは外の光を完全にシャットアウトし世界の流れから独立した空間に私はいた。 好きなタイミングでライブ配信をし、疲れたら眠り、飽きるまでスマホを触り、また眠る。 今、この瞬間が朝なのか夜なのか。それすら知らないし、それでいいと思ってしまった。 だから、最後に外に出たあの日、Miku☆の店内放送を聞いたあの日からどれだけの時間が経って、世界がどのように変動しているのか私はわからなかった。 とにかく、私にとって「昨日」と「今日」、「明日」間での間違え探しの難易度だけが上昇していく。そんな毎日だった。
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