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──…22時
誰もいなくなったデスク─…前任の小宮秘書に頂いた有難い資料に何度も何度も目を通し、他にも…ウチの会社が扱っている製品を毎日毎日チェックして覚えるまで眺めた
ちゃんとタイムカードは切ってある。無駄に残業代を要求するつもりもない。私という人間は昔からこういう人間だ。
──…やるからにはちゃんとやりたい
"小宮秘書が良かった"
この言葉を何度も聞いた。それは常務の口からはもちろん…同じ秘書課の先輩方、他にも事務手続きで関わる人や、玄関のガードマンのおじさんにまで。
本当、小宮秘書がいかに仕事の出来る人間で…常務にとってかけがえのない存在だったのかを日々痛感させられる。
──…だから、
『………負けたくないっ、』
女の幸せを掴んで辞めていった彼女とは違う。私は投げ出したりしない。せっかく採用してもらえたんだ…常務がいる限りずっとずっと隣で支えていつか小宮秘書を越えられるような、そんな人間にっ、、
「─美堂秘書?まだ、帰られないのですか?」
一人、誰に頼まれたわけでもなく残業している私に声を掛けてきたのは…秘書課の先輩である小山内秘書。
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